ある夜中に背中がかゆくなって、かゆいなぁと思い始めると止まらなくなって、最初は掻いていたのですがかゆみが止まらないのです。そのかゆみがだんだん、だんだん上にあがってきてとうとう手が届かなくなると、今度は上から腕を回して掻こうとするのですが、上の手と下の手がちょうど出合わないあたりがかゆくなるのです。かゆみが移動するのです。手が届かないあたりで、しかも気がふれるくらいにかゆいのです。

たまらず、部屋の柱の角に背中をあててこすり付けるようにして掻いたのですが、そうしながらふと思ったのです。要するに誰かが何かを言ってきているのだけれど、そのかゆみは冷静に分析してみると、皮膚の表面がかゆいわけではなく、皮膚の内側がかゆいのです。背骨と皮のちょうど中間あたりがかゆいのです。しかも自由自在に動き回るのです。気が狂うようなかゆさです。