やっぱりあの夢は本当だったのだと思った。その時間、電話が一本もかからない。営業社員は誰も帰ってこない。窓の外には通りに車が一台も通らない。真空空間のような不思議な世界。世界中にひとりしかいない。窓の方を見るとまぬけな顔をしてこっちを見ている、生きる気力を失った自分の顔がありました。
回転椅子に座ったままでぐるりと後ろを向くと、書棚があり、今まで読んだ本がたくさん並んでいました。講演会を主催していましたから、講演会の講師の著書を読んだり、気に入った箇所にはラインを入れたりした、そういう本をぎっしりと詰め込んでいました。